【WBC2009】仲間を信じて走った岩村明憲 イチロー決勝打の裏で

2009年に行われたワールドベースボールクラシック(WBC)の決勝戦を覚えている人は多いと思う。日本対韓国の試合だ。延長10回、走者を二、三塁に置いた場面で、イチローが決勝打を放ったシーンは特に印象的だった。

この決勝打の裏で、ちょっとした出来事が起こった。実は、イチローが打席に入った段階では、走者は一、三塁だったのだ。そして、一塁走者であった岩村明憲は、イチローの打席で二塁への盗塁を成功させたのである。

この盗塁によって、岩村は非難を浴びた。岩村が盗塁し一塁が空いたことで、イチローが敬遠されていたらどうしたんだ、といったものだ。

実際、私もこの試合を観ていて、一塁が空いてしまったからイチローは敬遠されるだろうと踏んでいた。ところが、韓国はイチローとの勝負を選んだ。韓国がイチローと勝負を選んだことをとても感謝したのを覚えている。

岩村が盗塁を試みた時に考えていたことを吐露している。

「走った理由は2つ。一つは韓国側に敬遠の気配がなかったこと。もう一つはもし歩かされても、次の中島裕之(当時西武、現オリックス)が打つ確信があったこと。」*1

岩村自身は、あの場面で韓国は敬遠を選ばないだろうと感じていたようだ。そして、岩村達内野陣は、食事会でコミュニケーションを取っていた。その時の会話で、岩村は中島という選手を知り、ここぞで打つ選手であることを確信していたのだ。

結局、イチローが決勝打を放ちヒーローとなったので、イチローがもし敬遠されていたら、というのは歴史上のifとして残ることになった。

あの場面、岩村自身は、日本の勝利をある程度確信した上で、盗塁を試みたのだろう。そして、結果的に、その盗塁は韓国に対してダメ押しともなる追加点のお膳立てとなった。

あの時イチローは敬遠されないと感じた。そして、たとえイチローが敬遠されても、次の中島が打ってくれる。仲間を信じて日本の勝利のために自分が為すべきことを岩村は実行した。そして、岩村の選択は正しかったのである。

日本の強みは、もちろん個人の能力もあるけれど、やはり選手同士のコミュニケーションや信頼関係もある。今年行われるWBCでも、日本は周りの雑音に惑わされず仲間を信じて戦ってほしい。

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参考資料:

  • *1 日経新聞、2017年2月14日
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